税金について聞かれて、何も答えられなかった。
法律の周辺分野も勉強しておかないとな。
期日請書の書き方ってこれでいいんだっけ?初めての裁判で、分からないことだらけだ…
起案が苦手で時間がかかる。上手く書けるようになりたいなぁ。
そんな若手の方におすすめの、弁護士業務の基本を学べる本を紹介します!
弁護士として知っておくべき基礎知識とは
誰もが身に着けておくべき、すべての弁護士業務の土台となる知識が存在します。
裁判や書面における弁護士のいわゆる「常識」、税金や不動産などに関する基礎知識、起案力の高め方などです。
特に、弁護士の「常識」的な所作は通常、姉弁・兄弁に教えてもらうものですが、即独やボス弁との距離感などから聞ける相手がおらずに困っている方もいるでしょう。
この記事では、そんな人も実務の基礎を独学で学べる本を現役弁護士が選りすぐってご紹介します。
ご紹介した本を備えておけば、安心して業務に臨めるようになるでしょう
起案の技術を学べる本
法律文書作成の基本
元最高裁調査官の裁判官が著した法律文書技術の名著。
この本は、ほとんどの事務所が備えているんじゃないかな
法律相談のメモの取り方を含めて、訴状、答弁書、準備書面、契約書といった法律文書の「書き方」を学べます。実務で作成する文書を、その目的から「客観的文書」と「説得的文書」に分け、それぞれの効果からどのような文が望ましいのかを説き起こします。
密度が濃く、簡単に通読できる本ではありませんが、繰り返し読み返すたびに学びがあります。
「法律実務家は、言葉を命とする職業です」という著者の言葉がカッコよかった!
起案添削教室 弁護士はこう表現する 裁判官はここを見る
弁護士と裁判官の共著である、実戦的な起案力向上を明確に目指した本です。
一生懸命書いたのに、裁判官からいつも突っ込まれる
という方は、本書を使って訓練することをお勧めします。
実例に基づいてダメな起案をまず示し、弁護士が裁判官が添削をしてくれますので、ダメ起案の「何が、なぜダメなのか?」を身に染み入るように理解できます。
司法試験でも、ギリギリ答案と上位合格者の比較から学ぶことが多かったよね。
目次をみれば、本書の内容が非常に実践的だとわかります。
さらに、依頼者とのトラブル発生時の書面や、刑事事件の被害者への手紙といった、どう書けばよいか苦慮しがちな裁判外書面の書き方も扱っています。
裁判外の手紙の項目は、社会人経験のない新人の方には特に役立ちそうです
新・センスの良い法律文書の書き方
訴訟で書くべき書面とはどのようなものか研究してきたことをまとめた弁護士の書籍です。
著者は青学や阪大ローで法律文書を教えている方です
事案について何も知らない裁判官を説得するには、読みやすさ・わかりやすさが重要になります。
したがって、勝つための法律文書には
- 読みやすく、わかりやすい
- 論理的で
- 読み手の心が動かされる
といった特性が備わっている必要があり、本書では、このような文書を作成するためのエッセンスを学べます。
裁判書類作成・尋問技術のチェックポイント(実務の技法シリーズ)
若手弁護士向けの「実務の技法」シリーズの総集編です。
裁判書類作成(第1章)、資料収集(第2章)、尋問技術(第3章)と、民事裁判での代理人業務において求められる水準とそれを満たすノウハウが網羅されています。
初めて裁判を1人で担当する際には、手元に置いておくと心強い一冊です。
目次はこのような感じ。
各手続段階での留意点や先輩弁護士の思考過程のほか、形式的要件についても情報が簡潔にまとめられています。起案時に手元に置いておけば調査する時間を短縮できます。
裁判官出身の弁護士による「裁判官はこう見る」のコーナーでは、裁判官から見た望ましい代理人活動を知れる点も貴重です。
実務の技法シリーズ は、特に、初めての分野の案件を受任する際に役立ちます。
「事件処理にあたって体得しておくべき技法を、一覧性のあるチェックポイントと簡潔かつ明快な基礎知識とともに叙述する」と謳われています。
法律の隣接分野
弁護士の周辺学 実務のための税務・会計・登記・戸籍の基礎知識
法律の隣接分野である戸籍・税務・会計・登記の知識は、いずれ身につけなければなりません。
どのような場合に税理士や司法書士にお願いするべきか、そもそもどのような税金がかかるのかなど、基本的な知識を習得しておく必要があります。
何も知らなかった初めのころは、「税金の質問が来たらどうしよう…」とヒヤヒヤすることもありました。
この本では、事案を処理するうえで必要な隣接分野の知識が簡潔に整理されています。
深入りした説明はありませんが、法律相談で周辺分野の相談を受けた際に適切な方向性を示すためには十分です。具体的な事案に遭遇する前に一読しておくことをおすすめします。
法律家のための税法[民法編]
依頼者の利益を検討するにあたって、ある程度の税務の知識は必須です。
例えば、「限定承認では相続財産がみなし譲渡所得として課税される」という知識があれば、限定承認ではなく単純承認の方が得だと判断できるケースもあるでしょう。
この本は東京弁護士会による税務の解説書です。民法典の目次に沿って構成されているため、相談を受けた際に該当の項目にすぐにたどりつくことができ便利です。
ボクも、修習担当の弁護士からこの本をすすめてもらったにゃー
なお、税金について全くの初心者の方は、本書に取り組む前準備として東京弁護士会「『法律家のための税法」を読むための税法の基礎知識」を一読しておくと良いでしょう。PDFが開きます。
2時間で丸わかり不動産の基本を学ぶ
不動産業者による、不動産業の基本を把握するための本です。
軽い文体で書かれた一般向けの書籍なので読みやすく、不動産に関する案件を初めて担当する際に目を通し、取引の流れや公図・地積測量図といった書類を理解しておくために使うとよいです。
実務の基礎・事業主として持っておくべき知識
若手弁護士のための民事裁判実務の留意点
著書は裁判官経験のある弁護士です。
モデルケースに基づき、相談を受けてから訴え提起~第一審の手続~控訴審まで、裁判所内部の事務手続にも触れながら訴訟実務を解説する本です。
実務家にとって当たり前のことも丁寧に説明してくれているため、初めての期日の前にはこれを読んでおくと安心できるでしょう。
弁護士の失敗学 冷や汗が成功の鍵
弁護士7名による共著。
過去3年分21件の懲戒事例や弁護士のヒヤリハット事例が20掲載されています。実例から失敗原因を分析して予防策を示します。
懲戒は怖いです。自由と正義の懲戒事例も毎回目を通しましょう。
弁護士・事務職員のための法律事務所の確定申告入門
著者は、弁護士業務に詳しい税理士として税理士業界では有名な方です。
会計ソフトの設定、小口現金の管理方法、プライベートと教養の預金口座をどう扱えば良いか?など日常業務の会計から確定申告、果ては税務調査の受忍義務まで、弁護士にフィットした税務の知識を解説しています。
第5章では、アソシエイト弁護士、ノキ弁、即独、開業時に分けてケーススタディを掲載しています。
弁護士業務の税金について網羅的な一冊となっています。
反面、確定申告については入門的レベルに留まります。確定申告について詳しい書籍には、「弁護士のための確定申告と税務」などがあります。
ガイドブック弁護士報酬
必携とまでは言いませんが、弁護士報酬の設定に悩んだ際には参照することがあります。
まとめ
以上、実務の基礎を抑えるためのおすすめ書籍でした。
まずは以上の書籍で学習したうえで、分からないことは小さなこととでも質問する勇気を持ってみてください。
事務所に聞ける相手がいない場合は心細いかもしれません。しかし、修習同期、弁護士会ML、弁護士会の若手サポート部署など、頼れる人は必ず周りにいるはずです。この記事もあなたの一助となれば幸いです。
初めての法律相談に臨む前におすすめの9冊も参考にどうぞ。
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